プロローグ とてもとても幼い頃、 ステンドガラスのきれいな教会で、 泣いている私を慰めてくれる男の子に出会いました。 ――ほら。もうなくなよ ――おれが、えほんよんでやるから 教会の前で泣いている私にそういってくれた男の子。 男の子は私の隣に座り、私が抱えていた絵本を読み始めました。 ――『こうしておうは、おうじをとおいくにへ、ついほうしてしまいました』 おうじさま、いなくなっちゃうの? もう、おひめさまにはあえないの? 再び泣き出しそうになった私にその男の子は、 ――だいじょうぶ! おうじはぜったいに、ひめをむかえにくるよ! だから、なくな! そう言って私の頭を撫でてくれました。 その場所がどこだったのか? その男の子はどこの誰だったのかは分からないけど、優しく撫でてくれた男の子の手はとても温かかった。 また、あの男の子に会いたいな――― -fin- |