始まりは、朝。


「泰明さーん!!」

桃色の髪をなびかせ、あかねが走ってきた。
手には紺色の布で包んだものを持っている。
泰明はあかねをみるまえは冷静沈着な顔をしていたが、あかねを見た途端ぱあっと笑顔になった。

「あかね!!なぜこのような場所に??」

「えへへ・・もうお昼だから、ご飯もって来ました。」

「それはあかねの世界での風習か。」

「はい。朝昼夜3色食べるんですよ♪」

「なら頂こう。」

泰明はにっこりと笑い、あかねからその重箱を受け取った。
泰明は座って、あかねの作ったものを食べ始めた。
あかねは泰明の目をじっとみる。

「・・・・どう?」

「あかねの作ったものはなんでも美味しい。ありがとう。感謝する。」

あかねにキスをしてにっこり笑うと、あかねは顔が真っ赤に染まった。

「や、やだっ、こんな人前で・・・。」

「私はかまわない。あかねといられるなら・・どんなところでもかまわない。

もしあかねがいなくなったりしたら、私は必ず見つけ出す。だから・・・安心していろ。」

「泰明さん・・・。」

二人がラブラブモードに入っていきかけたとき、ざっと玉砂利を踏みしめる音が聞こえた。

「やあ、姫君と泰明殿。」

はっと友雅に気づいた二人。
あかねはぽおっと耳まで赤く染まり、泰明はギロッと友雅をにらんだ。

「友雅。お前は邪魔だ。向こうへ行ってろ。」

そんな泰明の暴言をあかねは慌ててとめる。

「や、泰明さん・・・それはちょっといいすぎ・・」

友雅はあかねにふんわりと笑いかけた。

「ありがとう、あかね殿。あかね殿に守られるなんて私は幸せ者だね。

ねえ?泰明殿?」

「・・・なんだ??」

泰明はいきなり話題をふられたので変な顔をしながら考え込んでしまった。

「と、友雅さん・・・。」

あかねは友雅を心配そうにみている。
友雅はにっこり笑い、あかねの顎をくいっと持ち上げた。

「麗しき姫君・・。今、貴女の唇を頂いてもかまわないかい?」

あかねはぼんっと顔を赤くして、友雅に抗議した。

「と、とと友雅さん!!なに言ってるんですか!!」

「何って、あかね殿の唇を頂く申し出をしているんだよ。・・・・いいね?」

「はい?!え、あ・・!!」

友雅の唇があかねの唇に近づこうとした瞬間。

バキッ

「・・・・くだらぬ。」

「や、泰明さん・・・。」

そこにはやっと考え事からさめた泰明のパンチをもろにくらっている友雅がいた。

「・・・・随分と強いね。そんなにあかね殿のことが好きかい?」

自分の手を頬に当てながら、友雅は泰明に怒りの笑顔を送った。
当然泰明は全く動じない。

「お前があかねにそのようなことをするとは思わなかった。即刻立ち去ってもらう。」

泰明が呪文を唱え始めた瞬間、友雅の手が泰明の唇を塞いだ。

「なぜ・・・そのようなことになるのかな??(怒笑)」

友雅の額にはすでに怒りマークが何個か出来ている。
このバカップルめが・・!とイライラしているのだろう。

「もがっ・・・っ!!!」

そのことにも気づかず、泰明はただじたばたしていた。

「泰明さん!!それに友雅さん!!」

ぼーっとコトをみていたあかねもやっと止めなくてはいけないと思ったのだろう。
いきなり二人が居る方向に走り出した。

「・・・えいっ!!」

あかねは友雅を突き飛ばして泰明の唇から友雅の手をはずした。

「・・・ふはっ!!」

あかねが泰明の方を見て成功とおもい、安心した瞬間転びそうになった。

「わっとっとっと・・・・・・・きゃっ!!!」

はずみで見事に転んだあかねは、哀れ玉砂利の上へダイブ・・・


・・・は、しなかった。

「・・・・いったあ・・・くない??やわらかい・・・。」

「これはこれは・・・あかね殿は大胆だねぇ。」

にっこりと笑って友雅があかねに微笑みかけている。

そう、あかねは今友雅の上にいる。
玉砂利をもろに受けたのは、友雅の背中だったのだ。
あかねは急に顔が赤くなり、おろおろし始めた。

「キャー!!!ごめんなさい!!!友雅さん、怪我はない??それともどこか打っちゃった場所とか・・・!!」

本当に心配そうにおろおろしているあかねを見て、友雅はあかねの頬に触れた。

「大丈夫だよ。それよりも、あかね殿が大胆だということが分かって、嬉しいよ。」

そういって軽くキスをしようとしたそのとき。
友雅の後ろからめらめらと黒い炎が上がっていた。

「友雅・・・・いいかげんにしろ・・・・。」

戦闘モードたっぷりなスーパールーキー陰陽師である。
あかねが泰明の方をみるとにっこり笑い、あかねを半ば友雅から奪い取るように持ち上げた。

「あかね、怪我はないか。」

「だ、大丈夫です。」

「よかった。(にっこり笑顔)」

至近距離で泰明の笑顔をみたあかねはまた顔が赤くなり、

「や、泰明さん・・・。(///)」

と、頬の火照りを冷ますために自分の手で頬を押さえていた。

そのまま友雅を追いて二人は去っていく。

「・・・全く、泰明殿もあかね殿には適わないんだね・・・。」

ちょっとした捨て台詞を一人言いながら、砂利をはらって友雅は内裏へ戻っていった。
もう、いい加減に自分たちがバカップルと気づきなさい・・・。そう思っていた友雅であった。





ざっ、ざっと玉砂利を踏みしめる音があかねの耳に入る。
まだ泰明に持ち上げられているので、あかねは泰明に寄りかかっていた。

「ねえ、泰明さん。なんで友雅さんちょっかい出したんだろう。」

「友雅が考えていることはよく分からない。きっといつもの”遊び”とやらだろう。」

「ふーん・・・。」

「それより、あかねの香りが友雅の香りと混ざっている。」

「えっ?!うそっ。」

「ああ。だから、今夜はお前と・・むぐぅっ・・・。」

「今ここで言わないでよ!泰明さん!!!」

あかねは泰明の口を慌てて押さえ、泰明に小声で話した。

「・・・わかった。では、屋敷に戻ろう。

あかね、今日もお前は美しい・・・。」

「泰明さん・・・・。」

今日もこのバカップルはラブラブモードを全開にして屋敷にいったのであった。










リクエスト内容は、「あかねにちょっかいを出す友雅とそれを見てやきもきする泰明」というものでした(笑)。
そんな要望からこんなに素晴らしい小説を頂き、本当に嬉しかったです。。
いやぁ、本当にバカップルですね(笑)。
マグロさん、素敵なラブラブ小説、ありがとうございました。



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