『You're my shine』



 都大会を直前に控えた日曜日。

僕ら青学テニス部は、大会前との事で各自自主錬と言う名の自質上の休養を言い渡されて いた。

練習する気も起きなかった僕は、久々の休日を過ごしていた。

気分転換に散歩外の散策をしていた僕は、気がついたらテニスコートの近くにきていた。

其の場所に僕は見覚えがあった。

僕と彼が、不二周助と手塚が初めて逢った場所だった。


 今から遡る事数年前―――。

初めて彼と初めて逢ったのは、自宅から少し離れた場所にある屋外テニス場だった。

其の日、僕は趣味の一つである写真を撮りに出かけていた。

涼しげな初夏の風と新緑の匂いで満ちた6月の空気に誘われて、何時もより遠出をしてい た。

そして、気がついたら僕は道に迷っていた。

見慣れない街並みに気を配りながら人を探していた時、遠くの方で微かな物音が聞こえ た。

僕が聞き馴染んだ音、テニスボールの弾ける音。

誘われる様に音のする方に進んで行った先には、屋外テニス場が在った。

音の発生源には独りの少年が居た。


 彼は、独りで練習をしていた。

只管にボールの打ち込みをしていた。

恐らく、成長期前だったのだろう。

彼は小柄と言える体格の線の細い少年だった。

一見、何処にでも居る様な少年。

しかし、僕の眼は彼の姿に奪われた。

まるで、舞う様な軽やかでしなやかな動き。

一部の油断も隙も感じられない、無駄の無い動き。

僕は、彼のテニスをしている姿に釘付けになった。

 僕もテニスを習っているので、多少なりとも相手の能力を見抜く力はあるつもりだっ た。

しかし、彼は見抜けなかった。

圧倒的な存在感と能力の前に僕は只一つの思いに囚われていた。


彼とテニスをしたい―――。


 次の瞬間、僕は本能で行動していた。

彼に話し掛けていたのだ。

どんな風に話し掛けたのだろうか?

今思い返しても、興奮と緊張の余り覚えていなかった。

しかし、彼の僕を見定める意志の強そうな瞳は未だに覚えている位鮮明だった。


 この一件を経て僕は彼と、手塚国光と正式に知りあう事となった。

僕等は、週末には毎週の様にテニスをした。

お互いについて、特に語ったりはしなかったが其れでも十分だった。

彼とのテニスだけで僕は満足だった。

 そして、其の年の春―――。

同じ中学に進み、一緒にテニス部に入った。

お互いに切磋琢磨しあい、今現在に至る―――。


 懐かしい記憶に思いを馳せながら、僕はテニスコートに立っていた。

あの頃は只二人でテニスをしているだけで楽しかった。

しかし今は違う。

僕らには全国大会優勝と言う目標があった。

彼は肘を壊していた。

肘自体の怪我は、完治したと言う事になっている。

しかし、無理をすれば何時再発するか解らない状態だった。

それでも彼は諦めないと言った。

彼の強い意志を思わせる様な眼差しと言葉。

其処に込められた想いの強さを知っているから、僕には止められなかった

 だからせめて、僕は彼が後悔しない様精一杯テニスが出来る様見守ろう。

彼が前に踏み出せる様一緒に前へ進もう。

あの日の様に僕の瞳に彼の姿を焼き付けよう。

眩しく照り付ける太陽の様に―――。






リクエストして書いてもらった小説です。
・不二塚
・二人とも幼少時からテニスを習っている
と言う設定だそうです。

不二〜〜!!\(>▽<)/
テニプリ小説は初めてだったそうですが、素敵ですvv
さすが蓮井さん、不二の気持ちをよくわかっておられます(笑)。
不二、手塚に一目惚れですねvv(←もっと純粋な出会いに見られないのか、私!(汗))
うわ〜ん、嬉しいです!!
ありがとうございました〜〜vvvv




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