<学園祭その後〜kiss 「菊丸」>


(先輩 さっきからソワソワしてるけど、カラオケそろそろ飽きたのかな?
歌い始めてもう2時間近くたつもんね。)
マイクを置きながらチラッと見ると それに気づいた菊丸が甘えた声で話しかけてくる。

「ねーねー 普通に歌うのってちょっと飽きない? 点数で賭けしよーよ?」
大きな瞳でおねだりなんて ホントに年上って思えない。
「ふふ いいですよ。 じゃ私が勝ったら この後ケーキおごってくださいね」
「OK OK〜! 俺が勝ったらキスしてもらおっと!」
すごくサラッと言ったけど・・・  キス!?
「ええっー! ちょっと そ、それは・・・」
「まっ いーじゃん。ね。 先に歌わせてあげるからさ。  早く早く〜!」
「えっ? えっ? そんなにせかさないでくださいよ〜  じゃコ、コレ」
慌てて曲選んじゃったから選曲ミス? 痛恨の72点。

「では! 賞品のキスめざしてがんばっちゃうよーん」
「えー だからそれは・・・」
「菊丸 歌いま〜す!」

♪♪♪

「やったー! 94点〜」
「英二先輩ずるーい! さっきも歌った曲じゃないですか?」
「勝負の世界は厳しいのだ! さっ こっち来てちょ」
先輩がうれしそうに隣のソファーをポンポン叩く。
私だってうれしいけど・・・ 急すぎて困っちゃう。

「そんな困った顔されちゃうとな〜 じゃ・・・ ホッペにチュで許してあげるからさ」
「ホントですか? それぐらいなら・・・」
「さっ こっち来て。 そうそう。 んで手をこうして」
「英二先輩? 何で肩に手を回してるんですか? 逃げませんから」
「いーから いーから。 じゃ左のホッペね」 
首を傾けこちらに突き出す仕草がホント子供みたい。
「恥ずかしいから目をつぶっててくださいね。」
「うん ドキドキする〜」
「絶対 絶対ですよ。」
「うわぁ緊張するぅ。 早く〜。」

とまどいながら外側に跳ねたやわらかい髪をそっと上げる。
必死で目をつぶる先輩の頬に 触るだけの軽い チュ。 

「やったーー!」
ガッツポーズで大はしゃぎする姿を見てるとこっちまでうれしくなってきちゃう。
「何かやわらかくって ふわふわオムレツにキスされたみたい。」
「もう 英二先輩! 恥ずかしいから からかわないでください!」
「からかってないよ〜 ホントふわふわ。 じゃ もう一回しよっか?」 
「えっ? ちょっ ちょっと・・・」 

肩に置いた手が私を引き寄せ バランスを崩しながら頬にちょっと強めの チュ。

「えーっっ! 先輩 ずるい〜! 2回だなんて言ってないですよ〜。」
慌てて怒ってみるけど だんだん顔が赤くなっていくのが自分でもよく分かる。
「だって1回なんていってないもんね〜だ。」
「でも でも〜」
「しょうがないなぁ んじゃコレで最後ね。」
ズルそうな瞳がクルリと動いた。
「えっ? 最後って・・・」

先輩の右手が私の左手を優しく引っ張る。 肩を引き寄せる力が強くて 思わず胸に飛び込むと そのまま全身を包むようにぎゅっと抱きしめられる。

(今まで気が付かなかったけど 先輩の胸って広いんだ・・・)
いつものイメージとのギャップが大きくて なんだか急にドキドキしてきた。
真っ赤になった顔をそっと上げると 先輩の顔がゆっくり近づく・・

「大好きだよ・・・  チュ 」

やわらかい唇が離れると 私を抱きしめたまま先輩が満面の笑顔で叫ぶ。
「やったーーー!! キッスもらいっ!!」
「えっ? えっ? 何? キス・・・ した!?」
「ねぇ ねぇ 今のってファースト・キス?」
「もう英二先輩! そういう事じゃなくて!!」
「えっーー? 違うの??」
先輩が悲しそうに首を傾げる。
「えっと・・・ ファースト・キス・・・ ですけど・・・。」
「やったーーー!!」
「もう 英二先輩!!」

顔から火がでるほど恥ずかしい。照れ隠しで怒ってみたけど全然聞いてないし。

「だって ずーっとずーっと君とキスしたかったんだもーん。 昨日も必死で練習して・・・ って あっ!」 
慌てて口を押さえるけど しっかり聞こえちゃった。
「えっ? えっ? 練習って? 誰としたんですか?」
「えーっと・・・ その・・・ 大・・五郎・・・」
「大五郎? 大五郎って・・・ クマの?  ・・・ぷっ」 
笑わないようにがんばったけど 様子が目に浮かんでつい吹き出しちゃった。
「笑わなくてもいいじゃんかー。 だって何事も最初は大事だろ? もう 笑いすぎ! お詫びにケーキおごってあげようと思ってたのに おごってやんない!」
口を尖らせてそっぽを向くけど 腕はしっかり肩をだいたまま。
「あはは・・・ ご、ごめんなさい。 でも 英二先輩カッコ良かったです。  惚れ直しちゃいました。」 
「そ、そう? カッコ良かった? 面と向かって言われると照れちゃうにゃ〜。 よーし!  ケーキおごっちゃうよーん。」
さっきまで怒ってたのにもうご機嫌なんだから。

「じゃ そろそろ時間だし 出よっか?」
先輩がソファーから立ち上がり すっと左手を差し出す。 
「はい」 ちょっと照れながらその手をギュっと握りしめる。

(大五郎 協力ありがとっ。 今度 私もチュしてあげるね!)

  END



リコさんより頂きました!学園祭の王子様その後のお話です。
キスをおねだりする菊丸が可愛かったですv無邪気に喜ぶ菊丸がこれまた萌え!
実は大五郎で練習してたなんて・・・もう可愛すぎです!!(≧∇≦)

リコさん、素敵SSありがとうございました!!


戻る