「古典の世界を深める・・・って言ったけど、どう・・?」

「えっと・・・・今も昔も人って同じ・・なんですかね・・?」

「クス。そういう事・・・・。」


サラサラとした不二の綺麗な髪を頬の下に敷き、巴は大きな瞳で、
だが、少しだけ閉じられたそれで、長さのある睫毛を横から何とはなしに見つめる。


「巴はこういう時だけは静かだね。可愛いな。」


しばらくまどろんでいたのに、不二の言葉に巴は我に返った。

一瞬の間があるも、またからかって!と顔を赤くしながら、ぽかぽかと不二の胸を巴は軽く叩く。
巴のころころ変わる表情を楽しみながら、不二は次の反応をも楽しもうとしたのか、さらに言葉を掛ける。


「ちなみに・・・高校生の教材に“恋”の箇所は使われないけどね。」


よく考えれば当たり前の事なのだが、巴はええっと声を上げ、思わず半身を起こす。
騙されたー!なんて言って、不二から体を離そうとした。
本当に予想通りの反応を示してくれる巴に、不二は珍しく声を少し漏らして笑う。


夏前の夕方、部屋は明るい。
薄いブランケットの間からのぞいた巴の体に、不二は腕を引っ張り巴を自分へと寄せる。


「先輩?」
「・・・・・ごめんね、一つだけあったかな。僕が似ているところ。」
「え・・?」


急に不二が静かに言った。


「最初に巴が言ったこと。僕と源氏との共通点。
 大切な人を独占したい。誰にも見せたくない。取られたくない・・・。独り占めにしたいって思うところ・・・。」

不二の腕に包まれると、巴にも自然と想いが伝わってくる。
たった今口を尖らせた事など忘れ、巴はふふっと静かに笑って付け加えた。


「・・・・・・・・・もう一つありますよ。」

「え・・?」


巴はきゅっと自分から不二の体に身を寄せ、
不二の少し驚いた瞳を感じながら、今日のお返しとばかりに耳元で囁いた。


「女の人を虜にしてしまうところです・・・。」











「紫のゆかり」の紫さんより、4000番のキリリクで頂きました!
「不二&巴で甘々」という漠然としたリクエストにもかかわらず、
こんな素敵なお話を書いてもらえて嬉しいです!(≧∇≦)
ちょっぴり意地悪なところがやはり不二ですよね(笑)。
甘い展開に口から砂糖を吐いちゃいました!
ラストに巴が反撃しましたが、この後どうなったか非常に気になります!
私も学生時代に戻って不二に勉強を教えてもらいたいですv
巴の「少女誘拐事件」発言には笑いました。た、確かにそうかも(笑)!

紫さん、素敵なSSをありがとうございました!!



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